地域包括支援センターで勤務していた時に関わったケースです。
本人が要介護の認定から要支援の認定になったとのことで、居宅介護支援事業所の担当ケアマネジャー(CM)から連絡がありました。
引継ぎのために同行訪問を依頼しましたが、担当CMはなんとなく嫌そうな雰囲気をかもしだしています。プランを作成する担当は私になったのですが、ちょっとやばそうだったので同じ部署の主任CMへ一緒に行ってほしいとお願いしました。
本人(一人暮らし、認知症の診断なし)の自宅で本人、担当CM、我々2人で引継ぎの話し合いを行ったところ
①本人は要介護3の認定だったが、更新し要支援2となった
②要介護3の認定がでたのは入院中だった(転倒し骨折→手術→リハビリ(ここで介護保険申請)→自宅)
③要介護3の現在、ホームヘルパーを月に48回(全て生活援助)利用している
④本人・家族はホームヘルパーの利用回数が減ることに不満をもっている
⑤今回状態を確認したところ、要支援2の認定は妥当な判断
⑥担当CMは要介護3の認定の間、全くサービスの変更をしていなかった
という状況でした。つっこみどころ満載で私と主任CMはあきれておりましたが、とりあえずは生活の全体を考える必要がありますので、担当CMへの指導はあとまわしにしました。本人からの情報収集を終え、次回の訪問では家族も呼んで今後の生活を話し合おうということにしました。
事務所に戻りみんなで話し合ったのですが
①要介護3から要支援2になっているので、介護保険の申請はよっぽど本人の状態が悪い時に行った可能性が高い
②要介護3から要支援2になっているにもかかわらずサービスの変更をしていないので、担当だったCMはモニタリングを行っていなかったか、状況の把握が不適切だった可能性が高い
③ヘルパーを月に48回は利用しすぎであり、減ることに対して不満がでるのは当然(要支援2だと利用できても月8回になるね)。他のサービスの提案をしていたのかな?
といった意見がでました。そんななか本人と家族にどう説明しようかなーと考えていたところ、とある案がうかびましたので実行してみました。
当日・・・
本人宅にて、本人・息子(学校の教員、車で1時間かけてきた)・私で面談
本人・息子「要支援になったから、ヘルパーの回数減るんですよね?困るんですけど!」
私「そうですよね、急に変わると生活に支障がでますよね」
本人「けれども、制度上しかたないんでしょう!?」
私「そうなんですよ」
息子「どうにかならんのですか!」
私「本人の状態をみても要支援2は違和感を覚えるような認定ではないので、もう一度認定を取り直しても結果はかわらないと思います。ですのでこの状態で生活のことを考えた方がよさそうです。それに、介護をうけていた時にくらべると、今は身体の状態が良くなっている、ということですよ。本人も生活を通してリハビリをがんばられたということですね」
本人「たしかに、入院していたときは何もできなかったけれど、家のことも前みたいにできるようにはなってきたわ」
息子「でもヘルパーの回数が減るし、要支援2だと月に8回になると聞きましたが」
私「それが、現状ですと月4回になりそうなんですよ・・・」
本人・息子「月4回ですか!?!?」
私「そうなんです。理由としては、この地域では高齢者は増えるけれども働き手が少なくなっているという状況が深刻なんです。実際に事業所も人手不足で訪問介護をつづけられなくなったり、要介護の認定で身体の介護が必要な方だけに利用を制限していたりという事業所もあるんです」
息子「そうなんですか!?」
私「はい、そもそも支える人が足りないんです。ですので、利用できたとしても月に4回、週に1回ですね・・・」
本人・息子「それは困ります。なんとかなりませんか!?」
私「そうですね・・・息子さんからの情報も含めて、もう少し本人の生活状況を教えてもらえませんか?」
本人・息子「はい聞いてください、家での状況は・・・・・」
いろいろ聞き取る
私「わかりました、そうですね・・・。この状況だと、月8回で利用を検討してみましょう(もともと月8回のつもり)」
本人・息子「本当ですか、ありがとうございます!!!」
という流れで、逆に感謝されるような雰囲気にもっていくことができました(サービスが利用できなくなると本人や家族から嫌味を言われたり、今回のように前任の尻ぬぐいをするようなケースも多々あります)。実際ホームヘルパーの事業所は場所によっては減っており、この方も数か月後には月4回の利用になりました(なので、私も本質的には嘘はついていない)。
その後、以前の担当CMの悪行(怠慢)を市に報告して、しかってもらうわ My Darling!状態を考えていたのですが、なんとタイミング良く(悪く?)そのCMが別の土地へ転職するそうで、うまいこと逃げられてしまいました。なんとも後味の悪い結末ですが、専門職の中にも一部には「????」な人はいますので、みなさんもいろいろな角度から判断できるような状況を作られてください。そういう私もミスをすることがしょっちゅうありますので、常に話し合いながら迷子にならないように気を付けます。
ちなみにこのケースは、勤務先で「HLP48(ヘルパーフォーティーエイト)事件」として、みんなの頭に記録されています。