印象に残っている人⑧

今回は近隣の住民から相談があったケースです。内容的に刺激が強いので心臓の弱い方は読まないという選択肢が良いかもしれないことと、18歳未満の方もやめておいたほうがいいかもしれないことと、動物好きな方も続きは見ないほうがいいかもしれないことと、ややグロテスクな表現もあるのでそういうものが苦手な方は避けたほうがいいかもしれないので、該当される場合は閲覧をお控えください(もはや載せない方がいいような・・・)。

地域包括支援センターで勤務していたときに電話がありまして

「近所の人が猫を飼っているんだけど、お世話ができていなさそうなのと、動物のおしっこっぽいにおいがしてきちゃって困っているのよね。家にいるのは高齢者の夫婦で以前から顔は知っているんだけど、たまに会った時に話をしても会話がなりたたない感じだし、なんとなく認知症っぽいのよね」

という内容でした。早速対象者のところに看護師と行ってみたところ

私・看護師「こんにちは。この近所をまわっているんですが、生活に困っていません?」

夫(鼻から酸素吸入している)「大丈夫ですが、猫がどうしようもなくてですね」

妻「とりあえずあがってください」

私・看護師「(ゲリラ的にきたけど受け入れいいな)」

玄関入ると糞尿のにおいが強い

私「おじゃましまーす」

廊下に餌と糞尿と毛

看護師「やばそうね」

リビングに行くと猫がざっと数えただけで20匹くらいおり、子猫も別で10匹ほどいました。餌がところどころ食品トレーの上に置かれ、それを巡って猫は絶え間なく移動しているため部屋中に毛が舞っており、糞尿や猫の死骸も多数みられます。死骸は大きな猫に踏まれたり齧られたりしているようで、環境としては非常に悪い状況でした。

私「お2人はご飯を食べています?」

夫「買ってきて食べますよ」

看護師「夫さん、苦しくないですか?」

夫「酸素をつけているから大丈夫です」

私・看護師「(大丈夫ではなさそうだが・・・)」

妻「猫がこんなに増えちゃって、餌を買うのも大変なのよ」

私「(くさいし毛がまとわりつくし死骸はあるし、もう出たい)いつから猫が増えたんですか?」

夫「いつだったかなー」

妻「猫がこんなに増えちゃってね」

看護師「お2人に子どもさんはいますか?」

妻「子どもは3人おりますよ」

看護師「近くに住んでます?」

妻「近くにいる子もおります」

看護師「子どもさんと電話してみていいですか?」

妻「電話はここに書いております」

私「(もう無理)外で電話してみましょ」

看護師「もしもし息子さん?実は今ご両親の家に来てて・・・」

ということで現状を知った息子さんがさっそく来てくれました。ここからは本人夫婦の支援として病院受診と介護保険を申請するよう説明し、息子さんは行政の動物に関する係と相談したり、別の子どもや親せきに応援を頼んで手分けして生活の改善に取り組みました。自宅は死骸と糞尿で住める状態ではなかったので、一時的に親せきの家に住むこととなりました。その後夫婦は要介護の認定となり、グループホームへ入所されました。本人達は猫の世話から解放されたためか、猫が恋しいということは言われず平和に生活できているそうです。猫のその後は分かりませんが、栄養状態の悪そうな猫もたくさんいたため、元気な猫は里親につなぐか難しければ殺処分になると思われます。高齢者とペットに関する課題はたまに遭遇していましたが、ここまで凄惨な状態は初めてで結構なショックを受けた覚えがあります。

猫は食料さえあれば自分で毛の手入れをするので毛並みはいいのですが、食糧がないとやせ細って毛が抜けたり、産んだ子どもを食べてしまったりするそうなので、避妊手術と去勢手術を含めた対策が必要になりますね。さらに自宅外に出る猫だとそこから感染症をもらってくる可能性もあるため、適切な関わりが求められますね。高齢者の支援をしている地域包括支援センターですが、こういった動物(ペット)も含めた支援に関わる場合もあるので、本当にいろいろな視点というか考えに触れる機会が多いと感じます。